東京藝術大学 東京藝術大学入試情報サイト SDGs 共創の場 球探足球比分 東京藝大クラウドファンディング 藝大レーベル / GEIDAI LABEL supported by Warner Music Japan グローバル 藝大フレンズ 早期教育 東京藝術大学ジュニア?アカデミ

先端芸術表現科?先端芸術表現専攻

◆学科?専攻概要

一九九九年四月、先端芸術表現科は、美術学部の新設学科として生まれました。

東京藝術大学にそれまであった学科は、絵画や彫刻など、特定のメディアを研究?教育していく枠組みをとっていました。
本学科設置申請を行った趣意書には、「社会に対し積極的に活かす複合造形研究の視座に立って、急務としてある情報と環境に関わる新しい時代の造形表現の可能性を追求するため」と設立の趣旨がまとめられています。
このように、先端芸術表現科は、当初より、メディアを横断する学科として構想され、当時、一般化していったパーソナル?コンピュータを活用したメディア?アートを含む多様な領域について研究を行い、学部の学生についても、美術および隣接する表現を、幅広く、総合的に教育するカリキュラムをめざしました。

第一期生三〇人と当時の教員は、未開拓であったプログラムを、新たに模索するところから始めました。やがて、学生と教員がともに、考え、学び、制作を行うスタイルが固まっていき、学部カリキュラムが整備されるなか、二〇〇三年には、大学院美術研究科(修士課程)先端芸術表現専攻、二〇〇五年には、博士後期課程が設置され、完成年度を迎えました。
大学院においては、自らの専門性は何かを模索して生きた学生が集う場となりました。
先端では、先端芸術表現科出身の学生ばかりではなく、本学の他学科、他学部、また他大学からの出身者も、特定の領域に偏ることなく、さまざまな教育を受けた学生を受け入れています。メディアを横断する本専攻の特色は、さらに深化しています。

学科設置からすでに、二十年余りが経過しました。先端芸術表現科および、先端芸術表現専攻は、二〇〇一年にメディア教育棟が竣工してからは、写真、工作、コンピュータ、映像、音、身体などさまざまな分野のスタジオを核として、学部、大学院の教育?研究を一貫して行ってきました。視覚表現のなかでも、映像が大きな役割を果たしつつある今、映像リテラシーの教育も大きな意味を持っています。また、文化人類学や社会学の達成を踏まえたフィールドワークも、リサーチの方法として重視しています。
この間、横浜校地に新設の映像研究科、千住校地に音楽環境創造科が設立されるなど、これまでの美術学部、音楽学部二学部を主体とした教育組織も、時代とともに変化していきました。

これまで美術学部のほとんどの学科は、学部一年生の教育を取手校地で行ってきましたが、大学全体の方針として、一年生の教育を上野校地で行うことになりました。先端芸術表現科も、二〇十六年から、上野キャンパス絵画棟一階アートスペースを拠点として、一年生の教育を行っています。
こうした周辺の状況の変化とともに、先端芸術表現科および先端芸術表現専攻は、インターネットの急速な進展を踏まえ、グローバル化する社会に対応すべく、研究の幅を広げています。

多様なバックグラウンドを持つ常勤教員は、設立以来、それぞれが主宰する研究室に、学部三年生から学生を受け入れてきました。構成メンバーによって、研究?教育の実質的な内容が、常に変容していくのは、先端芸術表現科では当然のこととされています。先端芸術表現科の英語名であるI n t e r – m e d i a  A r tは、この学科の精神を現す重要な概念ですが、現在では、それとともに、多様性、ダイバーシティのような言葉が、この学科の追求すべき理念にふさわしいと考えています。

二十一世紀と先端芸術表現科の歴史は、抜き差しがたく重なっています。テロリズムや内戦は、この世紀も収まる気配さえありません。パンデミックは、人と人とのコミュニケーションを分断し、社会は孤立と絶望を深めています。
私たちは、表層的なことどもや一時的な流行にとらわれることなく、現在性のある問題を、日本ローカルではなく、国際的な視野を持って、根源的な場所から思考することが求められています。
そのなかで私たちは、欧米先進国に留まらず、アジア?オセアニアなどの多様な文化を受容し、他者とともに、共生、共創する意志を固めています。人類の大きな課題となっているジェンダーの問題、データを軸として新たな知見を追求するデータサイエンス、人間の労働環境と深く関わる人工知能(A I)、自然環境と地域社会を考える里山の構想などを、新たな研究テーマとして構想しています。

先端芸術表現科、および先端芸術表現専攻は、これまでも国際的な場で活躍するアーティスト、表現者を多数、輩出してきました。
卒業後、修了後の進路は、ここにすべてを網羅することがむずかしいほど、多岐にわたっています。先端芸術表現科ならではのユニークな人材が、社会の中で、広範囲に活動しています。
私たちが誇りとするのは、専門的かつ広範囲な美術教育を受けた卒業生が、ひとりの市民として、職業を選択し、自らの人生を追求しているところです。
先端芸術表現科の歩みは、まだ、はじまったばかりです。新しい海図をもって、道のない自由な旅に出かける決意を、私たちは固めたところです。

◆カリキュラム

○カリキュラム(学部教育)

■1年次 テーマ:自己を知る 
1年次では、実技?必修講義など授業を上野校地を基本に行います。様々な専門性に特化したスタッフによるスタジオでの演習授業を中心として、ドローイング、コンセプチュアル?アート、写真、デザイン、工作?立体造形、身体表現、音楽、映像、など、多種多様なメディアの特性を分野横断的に学びながら、表現活動に必要となる基礎的な知識や技術の習得を目指します。

また、コンピュータの操作方法、芸術批評や理論、リサーチやプレゼンテーションに必要な語学力も集中的に身につけることによって、基本的な読解力、柔軟な構想力、創造的な思考力を鍛えます。このように、実技と理論の両方をバランスよく学び、多彩な経験を積み重ねることによって、新たな表現を生み出すための能力や素養を身につけていきます。

■2年次 テーマ:他者と外部を知る
2年次では、実技授業を取手校地を基本に行います。前期の「スタジオ選択カリキュラム」では、1年次に学んだ知識や技術を応用し、多様なメディアを選択的?複合的に扱い、独自の表現方法を探求します。
後期の「フィールドワーク」では、グループワークを基本として、学外の特定の地域をリサーチし、そこで得られた知識や情報に基づきながら、作品制作を行います。異なる個性や意見をもったメンバーが綿密なリサーチ、議論、交渉を行い、作品プランを実現させる一連のプロセスを学びます。「ポートフォリオ制作」では、画像編集からレイアウト、製本に至るエディトリアルデザインを学び、過去の自分の活動をまとめて他者に伝えるための技術を習得します。さらに、2年次の成果は学生の主体的な企画?運営によって開催されるアー
トイベント「取手藝祭」で一般公開されます。

■3年次 テーマ:関係をつくる
3年次では、教員別の「研究室」に所属し専門的な指導の下、1~2年次